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Vol.10 (1989/1[107])

<国内情報>
AHC様患者からのCA24型の分離例−千葉県


千葉県結核・感染症サーベイランス定点より,今秋県内の茂原地区に限局して,AHC様患者発生の報告があり,分離試験を試みたところ,22検体より1例だがCA24型ウイルスが分離できた。なお,今シーズン,AHC様患者からCA24型ウイルスが分離できたのは,今回が最初である。

患者の発生は,第35週(8月)頃から第45週(10月)の約10週間にわたり,1〜4歳群3人(2.2%),5〜9歳群3人(2.2%),10〜14歳群7人(5.2%),15歳以上123人(90.4%)計136人の年齢分布で,茂原市およびその周辺に限局して,出血を伴った結膜炎を主訴に発生した。

ウイルス分離材料は,眼結膜ぬぐい液がサーベイランス定点の医療機関の協力によって採取され,地元保健所を経由して当研究所へ搬入された。

当研究所ウイルス研究室では,HeLa(5代),Vero(2代)を使い分離を試みたが(−)であった。そこで,RD-18S細胞に切り替えたところ,初代よりCPEの出現をみ,4代継代後同定試験を実施し,CA24型ウイルスと決定した。

分離できた症例は,家族内感染により発病した13歳男児であった。



千葉県衛生研究所 市村 博,酒井 利郎,春日 邦子,時枝 正吉,太田原 美作雄





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