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Vol.9 (1988/2[096])

<外国情報>
Merseyside地区におけるデルタ感染−英国


 1982〜86年の薬剤乱用・急性B型肝炎患者210例がデルタ抗原および抗体を検査された。10例(4.8%)にデルタ重感染がみられたが,HBs抗原が持続しない急性HB患者では血清中のデルタ抗原・抗体は一時的となるので見のがしているデルタ感染例があるだろう。

 HBs抗体キャリア118例の調査では10(8.5%)がELISAおよびRIAでデルタ抗体陽性。このうち薬剤乱用歴のある21では7がデルタ抗体陽性,非薬剤乱用者97では3のみ陽性(1はイタリア人女性,2は若者,このうち1人は囚人)。陽性10例中2は死亡(肝硬変および慢性肝炎),2は正常肝機能値,他は追跡不能。

 デルタ因子はHBVと同時感染する欠損ウイルスでイタリア等では常在するが,英国では主に薬剤乱用者に限られる。感染してもHBs抗原が持続しないとデルタ感染は短期に終る。一方,HBsキャリアに重感染するとしばしば持続し,慢性HBの発症および致死率を高める。英国におけるデルタ因子対策は社会的活動で薬剤乱用を阻止することと,HB感染阻止のためハイリスク者にワクチンを接種することである。

 (CDR,87/48,1987)






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