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Vol.8 (1987/10[092])

<外国情報>
毒性ショック症候群−英国


 15歳の女生徒が顔面紅潮と胴,腕,脚の点状発赤で入院した。咽頭痛,胃痛を訴え,排尿なく,脱水症状で,体温39.6℃,脈拍は162,呼吸数は50,血圧は測定不能だった。臨床的に毒性ショック症候群と診断され,フルクロクサシリンが1日500mg5日間静注された。翌日までに排尿が改善され,体温が低下しはじめ,10日目に退院した。

 使用された膣タンポンと患者所有の開封した未使用タンポンから黄色ブドウ球菌が分離されたが未開封箱のタンポンからは分離されなかった。分離された2株は異なったファージ型パターンを示した(使用タンポンは29,52,79,80,81,未使用は29,77)が,両株とも毒性ショック症候群毒素(TSST-1)を有していた。患者の血清は抗αヘモリジンと抗ヌクレアーゼ価にわずかな上昇を示した。未使用タンポンからの異なるファージ型の菌分離については解釈が困難である。

 英国におけるTSS報告は年間40以下とみられる。ファージ型1とTSST-1との関連が確認されている。月経および産科関連例はほとんどTSST-1によるものである。

(CDR,87/30,1987)






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