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Vol.8 (1987/3[085])

<国内情報>
山形県における急性出血性結膜炎(AHC)の流行状況 1986年11月〜12月


1986年の11月初旬に県北部の最上地区の高校で急性出血性結膜炎(AHC)が集団発生しているという情報が当研究所に入った。最初に報告があった新庄市の某高校の発生状況をみると,患者は10月下旬より出始めており,私たちが調査した11月5日には在校生396名中199名(50%)の生徒が罹患していた。これらの患者の中で眼科医の診断を受けたものの臨床診断名はAHCおよび流行性角結膜炎(EKC)がほぼ半数ずつであった。その後,流行はこの地区の他の6つの高校にも広がり11月中旬には報告患者総数が約500名に達した。11月下旬になると流行は県中央部の村山地区の村山市,天童市へと次第に南下し,12月初旬には県の中心部の寒河江市,山形市,および上山市の高校まで拡大した。11月から12月初旬までの間に,最上地区6校および村山地区11校の計17の高校で約1,500名の患者が報告された。しかし,これらの地区の幼稚園および小中学校では患者の報告はなかった。また,県内の他の地区,日本海沿岸の庄内地区および県南部の置賜地区では集団発生の報告はなかった。一方,山形県感染症患者発生情報によれば,高校生の患者発生があった地区で11月初旬から12月中旬にかけてAHCの患者が約100名報告されており,そのほとんどが15歳以上のもので占められた。

表に,今回の流行においてペア血清が得られた4名の患者のウイルス検査成績を示した。4名ともEV70に対して明確な抗体上昇がみられた。中和抗体価の測定にはHeLa細胞を使用し,培地はYLEとMEMを等量合わせたものを使用した。ウイルス分離にはHeLa,HEL,Vero,RD-18S,HEp2およびGMK細胞を使用した。しかし,現在までウイルスは分離されていない。



山形県衛生研究所 大山 忍 大泉 昭子


ウイルス検査成績





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