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Vol.8 (1987/1[083])

<国内情報>
徳島県におけるCox. A24ウイルス変異株(EH24)の分離


 コクサッキーウイルスA24型変異株(EH24)による急性出血性結膜炎は,1985年に沖縄県で初めて確認されて以来,同県以外では確認されていなかった。しかし,本年和歌山県,神奈川県においてEH24が分離され,徳島県においてもEH24がわずか1株であるが分離されたので,その概要を報告する。

 本年8月初旬,本県西部に位置する池田町の浜眼科医院より,急性出血性結膜炎,および流行性角結膜炎(EKC)の検体を受けつけた。池田町を中心とする本県西部地区は1983年にEKCの大流行があり,約70%の分離率でアデノ8型が多数分離された。しかし,本年はアデノ8型は全く分離されず,アデノ4型が数株分離されたにすぎず,分離率も極端に低かった。このような状況のなか,EKC患者よりエンテロ様ウイルス1株が分離された。この分離株はHEp2,HEL細胞では1代目,RD-18S細胞(愛媛衛研・大瀬戸氏より分与)では2代目で分離された。既知のエンテロウイルス抗血清で同定できず,哺乳マウスに対しても病原性を示さなかったことより,ピコルナウイルス未同定株とした。しかし,本誌10月号にて沖縄県以外でもEH24が確認されたとの報告で,予研ウイルス中央検査部より抗EH24型血清の分与を受けて検討の結果,未同定株はEH24と同定された。

EH24が分離された患者は,本県西部山間地に居住する7歳の男児で,臨床診断名はEKCと下された。家族の中でただ1人罹患し,プールでの遊泳もなく,感染経路は不明である。本誌10月号で徳島県において罹患したと思われる,EH24による急性出血性結膜炎の発生が報告されたが,本症例が居住する場所とは地理的に相当な隔たりがあり,相互の関連性はないと思われるが,今後の疫学調査等で明らかにしたいと思う。



徳島県保健環境センター 山本 保男 渡 義典 浜眼科医院 浜 博





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