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Vol.7 (1986/11[081])

<外国情報>
胃腸におけるCampylobacter pyloridis−英国


 C.pyloridisが胃炎の病因として疑われている。Marshallらによれば内視鏡検査患者の胃腔生検材料で40%以上にこの菌がみとめられ,さらに,病理学的に診断された胃炎患者の88%から本菌が分離された。彼が空腹時,cimetidineによる一時的減酸症の状態で本菌109を飲んだところ,7日目に発症し,病理学的に胃炎を確認した。

 本菌の分離と表在性および慢性胃炎は関連するが,萎縮性胃炎は関連が低かった。本菌の特異抗原に対する患者血清のELISA IgG抗体は健康者と有意に差があった。胃炎患者ではWestern blot法で本菌の外被膜蛋白に対する抗体が検出され,また抗菌剤が胃炎に効くという報告がある。これ以外に有志の投与実験で,32人中17人が強度減酸症を呈し内視鏡で胃炎が確認されたという報告がある。これら成績は,宿主側のある条件のもとで本菌が胃炎の病因となることを示唆する。

(CDR,86/36)






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