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Vol.7 (1986/10[080])

<外国情報>
性行為感染症,1984−カナダ


 本報告は疫学的に重要なSTDすなわち梅毒,淋病,AIDS,ヘルペスとクラミジアの検査室報告,それに女性の骨盤炎症疾患と子宮外妊娠を含む。本システムは非淋菌性尿道炎,頸管炎,尖圭コンジローム,トリコモナス,疥癬を含まないが,これらはすべて淋病と同程度に発生しているとみられ,カナダでは百万のSTD発生が推定される。

 淋病:43,880例はSTD報告の93%を占める。前年と比べ10万人口対182から175に減少したが,10〜19歳は増加した。個人診療所診断例の30%しか報告されないし,感染男性の約10%,女性の80%までが無症状であるから正確な感染数の把握はむずかしい。

 ペニシリナーゼ産生淋菌:229例(淋菌感染の0.5%)中48%は国内例である。81%がペニシリンに対してMIC2mg/ml以上,29%は4〜16mg/ml以上。これらの53%はテトラサイクリンに対してもMIC2mg/ml以上。すべてストレプトマイシン感受性であったが,cefoxitinおよびcefuroximeには低感受性であった。

 梅毒(感染性,潜在,その他):3,075例(前年は2,416)。1・2期梅毒は1,435で,発生率は10万対4.5から5.7に上昇した。4例の初期先天性梅毒が報告された。

 AIDS:1984年は113例,これまで合計172例が報告。うち7例は子供で,6人の親は最近の移住者,もう1人の子供は出生時血液交換を受けた。

 ヘルペス:感染報告は12,179例,うち性器関連は6,761で前年の41%増。型別されたもののうち27.7%はHSV1型,72.3%はHSV2型。女性の性器感染に男性よりもHSV1型が多かった。

 クラミジア:4,284例は前年のほぼ3倍で,性器材料から82%,目から1.5%,鼻咽喉から0.4%が検出された。鼻咽喉のほとんどと目の38%は12ヶ月以下の子供だった。一般に非淋菌性尿道炎や頸管炎は淋病の3倍といわれ,このうち40〜60%はC.trachomatisと推定されるので,報告数は真の発生を反映するものではない。報告数の増加は診断用キットおよび病原体の認識の普及,さらに2州で届出制度ができたことによる。

 骨盤炎症疾患:15〜24歳が増加し,全体の46%を占めた。年々発生年齢が低下している。

 子宮外妊娠:1981〜82年4,615例で,妊娠報告1,000対10.4である。

(WHO,WER,61,No.13,1986)






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