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Vol.7 (1986/9[079])

<外国情報>
世界のポリオ,1984年


 1970年以降,ポリオ患者年間発生数が協力国の報告に基いてWERに掲載されている。

 一般的状況:1984年に合計24,275例のポリオ患者が6地域152ヶ国から報告された(表)。これは1983年より約12,000(ただし昨年同時期の報告に比べれば1,000)の低下である。東南アジア地域が62.5%を占め,ついで西太平洋地域18.6%,中近東8.1%,アフリカ2.4%,ヨーロッパ1%である。1974年以降の発生数の年平均は約4万であるが,1981年をピークとしてその後すべての地域で減少している。

 報告数は国によっては不正確で実際を下まわっているとみられるが,サーベイランスや報告システムが改良された(監視が行き届くようになった)国でも減少傾向は明らかである。生ポリオワクチンを使用する国が増加しているので,患者の減少はこれによるものだろう。

 接種率:図は生後1年以内に生ワクを3回接種した者の推定率である。アフリカ地域の15%からヨーロッパ地域82%まであり,平均47%は前年の2倍である。ワクチン一斉投与日を定めるというブラジルやコロンボで実施された実験は投与率をあげ,患者を減少させることに成功している。

 結論:集計数は報告の不完全さと遅れからみて真の世界の患者数を示すものとはいえない。しかし,接種率との関連で論ずるのはむずかしいとはいえ,1981年以降,ポリオ患者は確実に減少している。国内の行政力,情報システム,サーベイランスを改善することが世界のポリオ患者の減少に役立つはずである。

(WHO,WER,61,No.30&31,1986)



Coverage of infants with trivalent poliomyelitis vaccine, by WHO Region, 1984
Annual incidence of poliomyelitis, 1979-1984





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