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Vol.7 (1986/3[073])

<外国情報>
HTLV−V/LAVの結核への影響の可能性,1985−米国


 1985年の結核の暫定報告数は21,801例でこれは前年の2.0%減である。この減り方をみると1975〜78年は5.7%減,1978〜81年は東南アジア難民流入によって1.4%となったが,1982〜84年は6.7%の減少率だった。今回の2.0%はまた低下率が鈍化したことになる。理由は不明だが仮説として地域によってはHTLV−V/LAV感染が結核の増加をひきおこしている可能性が考えられる。この疑いは次の事実に基くものである。

1.他の例からも免疫低下が潜在的M.tuberculosisの活性化をひきおこすことは理論的にいえる。

2.結核が増加した地域,すなわち,ニューヨーク市,カリフォルニア,フロリダ,テキサスはAIDS多発地域である。

3.ニューヨーク市のデータでは結核の増加がAIDSの多い地域におこり,結核を持つAIDS患者および薬剤常用者の結核患者がふえている。

4.フロリダでAIDS患者のかなりの数がAIDS診断時または診断の18ヶ月以内に結核になった。現在までフロリダのAIDS患者1,094中10.9(10%)が結核と診断された。

 CDC結核部はこの関係解明のために現地の衛生当局と緊密な連絡をとっている。

(CDC,MMWR,35,No.5,1986)






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