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Vol.7 (1986/3[073])

<国内情報>
今期インフルエンザ分離株の抗原分析


 1985年秋〜冬の流行において,初期に分離されたA(H32)株(表1)は,大部分がA/山形/96/85型およびこれからさらに変異のみられるA/山梨/497/85型とみなされる。表2はその後に実施された抗原分析の成績である。A/大分/3/83型が数株みられた他は上記の2株の型のウイルスである。これら変異のみられた株は次期ワクチン候補株として検討中である。

 表3は1985年8月(雨期)にタイに行って分離した株である。タイではこの時期すでにA/フィリピン/2/82型,A/大分/3/83型,A/山形/96/85型およびA/山梨/497/85型のすべての型が入りまじって分離された。

 ところが同年12月,乾期になって分離された18株はすべてB型で,A(H32)は全く分離されなかった。今期米国などはB型が主流なので,これら外国の成績からみると次期流行はB型になる可能性が考えられる。

 表4はワクチン接種前の子供のHI抗体価を3型のA香港株とタイ最北端でとられたB型分離株について測定したものである。ワクチン株(A/フィリピン/2/82)にくらべて今期の分離株に対しては1/4〜1/8の抗体価となった。

 さらにB/チェンライ/3/85に対して抗体価はめだって低く,懸念される成績である。



国立予防衛生研究所 武内 安恵


表1.Hemagglutination inhibition reactions of Influenza A(H3N2) strains (1985)
表2.Hemagglutination inhibition reactions of Influenza A(H3N2) strains (1985)
表3.Hemagglutination inhibition reactions of Influenza A(H3N2) strains (1985)
表4.Comparison between HI antibody titer with type A Hongkong strains in Oct., 1985 (14 year old students of lower secondary school S in Setagaya, Tokyo)





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