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Vol.6 (1985/9[067])

<外国情報>
レジオネラ症


英国における発生:1985年4月および5月初旬,英国スタンフォードシャイアにおいて米国以外では最大のレジオネラ症流行がおこった。現在まで死亡11例を含む60人の患者が検査室で確認されている。感染源とみられる地域総合病院外来の水から血清群1のL. pneumophilaが分離された(本情報6巻7号17頁既報)。さらに,6〜7月にRamsgateの工業地域で5名が報告された。全部男性で喫煙者,1名死亡。2名は従業員,2名は近隣住民,1人は近くでクリケットの審判をした。冷却塔の水を調査中だが今のところ陰性。

(CDR,85/30,1985)

米国ミシガン州ウエイン郡における発生:4月27日ホテルでおこなわれた教会晩さん会に出席した約380名中14名が高熱を伴う肺炎と診断され,うち3名が死亡した。空調装置冷却コイルの外表面洗浄水から血清群1のL. pneumophilaが検出された。4月25日〜5月10日に同ホテルで催された12の晩さん会に出席した800人以上に問い合わせたところ,1例に肺炎の疑いがあった。最近の症例はでていない。

レジオネラ症は流行と散発とあり,散発例の方が多い。毎年25,000〜50,000の散発例があるものと推定される。感染率は老人,喫煙者,免疫異常者で高い。流行はふつうLegionellaで汚染された水から発生するエアゾールに暴露されておこる。この菌は至るところにあり,しばしば水から分離されるから環境からの菌の検出は必ずしも発生源のの証明にはならない。菌と患者発生の間の因果関係(疫学的,型別,エアゾール発生機序など)の追跡を要する。飲料水や冷却水のルチーンの消毒は無害ではないし,殺菌消毒は必ずしも菌を根絶しない。有効な対策を検討中である。

(CDC,MMWR,34,No.23,1985)

オランダ人旅行者における発生:1984年10月,スペイン休暇帰りの旅行者多数が重症の肺疾患を呈し,合計32名(診断は細菌学的3,血清学的25,疫学的4)が報告された。全員がバルセロナ近郊のPineda de Marの1ホテルに滞在した。男性24,このうち15名と女性6名が55歳以上。同ホテルに宿泊した他の地域の21名の血清反応試験では,症状のあった16人中4人がレジオネラ症と診断された。

6〜10月の間に旅行社は約3,500人(600〜700/月)のオランダ人を問題のホテルに斡旋した。少数のドイツ人客以外はオランダ人客で,32名は全部7〜10月にこのホテルで休暇をすごした。感染のピークは10月とみられる。ホテルは7階建てで,感染者はすべて4階以下の部屋に泊った。スペイン当局の調査で死亡例のあった1階と3階の部屋のシャワーと2水槽,バー,プール,空調システム(8月は稼動していなかった)が検査され,両寝室と1水槽からL. pneumophilaが分離された。分離株は血清群1で,ホテル滞在者からの分離株と一致した。

このような流行はヨーロッパ等では珍しくないとはいえ,オランダではかつてないことである。その後わかったことは,1984年7月〜9月にも発生があり,また,1983年9月,同ホテルに滞在した1オランダ人旅行者が血清群1型レジオネラ症で肺炎をおこしている。WHOセンターを通じた,より早い情報交換がすばやい対処を可能にするだろう。

オランダでは1983年までに記録された135例中43が外国旅行中または帰国直後に発症しており,さらに多数が感染している可能性がある。同時に2/3は明らかに国内で感染していることを忘れてはならないだろう。

(WHO,WER,60,No.29,1985)






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