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Vol.6 (1985/7[065])

<外国情報>
西ロンドンにおけるジフテリア


5月28日に71歳の婦人が咽喉の感染症で西ロンドンの一教育病院の救急治療部に入院した。彼女の咽喉ぬぐい液から毒素原性のジフテリア菌ミチス型が分離され,感染症病棟に移された。一時的な口蓋のしびれとかすかな心電図異常があった以外は全身状態は良好であった。病院内外の接触者を調べ,ジフテリア菌の検査を行い,医療従事者にはエリスロマイシン予防投与が行われた。

6月8日には十分にワクチン接種を受けた感染症部の家政婦が咽喉にジフテリア菌ミチス型を保菌していることが発見され,感染症病棟に移された。彼女の状態は良好で彼女からの分離株の毒素原性はまだ測定中である。家庭内および病院内接触者は咽喉ぬぐい液を採取され,エリスロマイシン予防投与がおこなわれた。

接触者である小児一人が滲出性扁桃炎をおこしたが無事に回復した。彼女にはジフテリアの証拠はなかった。接触者間に他の疾患は発生せず,毒素原性ジフテリア菌は分離されなかった。しかし多数の咽喉ぬぐい液の培養結果はまだ進行中である。

(CDR,85/23,1985)






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