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Vol.5 (1984/8[054])

<国内情報>
5月末に集団発生をみたB型インフルエンザ


 1983年から1984年にかけての冬季のインフルエンザは,全国的にA(H1N1)型で,B型は1月に横浜で1株分離されただけであったが,その後3月,4月に北海道等2,3の地区でB型の発生が報告されている。東京都では5月末に東久留米市の小学校で1学級34名中18名がかぜ症状で欠席し,5月29日から31日まで学級閉鎖が行われる事態がおき,30日に採取したうがい水より7株のインフルエンザB型ウイルスが分離された。また,患者のペア血清の補体結合反応では20例にB型抗体の有意上昇を認め,この学級では半数以上の学童が同インフルエンザに罹患したことが判明したが,他の学級にはほとんど波及しなかったようである。しかし,一般都民血清120例について,ワクチン株であるB/Singapore/222/79株と今回の分離株を用いてHI抗体保有状況を調べたところ,16倍以上の陽性率はワクチン株では60%であり,分離株では36%とさらに低い。また,64倍以上でみると24%と4%である。したがって過去の経験から夏季はともかく,この秋から冬にかけてB型が流行するであろうことは十分に予想されるところである。

(東京都微生物検査情報第5巻第6号より転載)



東京都立衛生研究所 坂井 冨士子





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