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Vol.5 (1984/7[053])

<外国情報>
複数抗生剤耐性Vibrio cholerae O1−タンザニア


 1977年11月に複数抗生剤耐性エルトール型コレラ菌による広範で長期にわたる流行が起こったために,タンザニアでは国内の異なった地域から得られた分離株中代表株の薬剤耐性についてサーベイランスを続けている。1977年11月に出現した耐性株はアンピシリン,クロラムフェニコール,カナマイシン,ストレプトマイシン,サルファ剤およびテトラサイクリンに耐性のC群プラスミド(R型 ACKSSuT)をもっている。1983年2月にアンピシリン,クロラムフェニコール,ストレプトマイシン,サルファ剤,トリメトロプリムおよびテトラサイクリン(ただしテトラサイクリンは低レベル)耐性C群プラスミド(R型 ACSSuTm(T))をもつ新型耐性株が出現した。同じような株が他のアフリカの国で同定されているので臨床的に重要ではないとはいえ,この低レベルのテトラサイクリン耐性は疫学マーカーとして有用とみられる。

この期間のコレラの処置と治療のために国内に供給されたテトラサイクリンの量が記録された。表に示すように国内で使用されたテトラサイクリンの総量は1978年以降次第に低下したが,これは主に治療における使用制限による。同時に,本剤の使用減少に伴って,テトラサイクリン耐性株の出現頻度の著明な低下がみられた。1981年に記録された大きい数字はほとんどの株が単一の病院の流行からきたことによるものと思われる。この経験はコレラ科学療法において抗生剤を限定して使用することが重要であることを強調する。

(WHO,WER,59,No.20,1984)



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