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Vol.5 (1984/7[053])

<国内情報>
赤痢菌の血清学的分類の改訂について


 今般,赤痢菌の血清学的分類について,下記のごとく,国際腸内細菌分類小委員会から勧告がだされた。本事業における赤痢菌の取り扱いについても,いずれ改訂にしたがって血清学的分類が変更されることになろうが,現在の段階では,新たに追加された各血清型について診断用抗血清の市販品が準備中なので,これら製品が整備されるまで,従来の分類による情報収集を続ける方針としたい。

 赤痢菌の血清学的分類は,国際腸内細菌分類小委員会による1958年の改訂後,新血清型の追加あるいは修正の提案がなされてきたものの,これまで全く改訂をみていなかった。しかし,最近に至り,同委員会はこれら懸案の提案事項について検討−審議し,本年それらに対して勧告をだすはこびとなった(詳細はInternational Journal of Systematic Bacteriology, 34巻,87,1984を参照)。以下この勧告のなかで,従来の分類に変更を生じた点につき簡単に紹介する。

1,S. flexneriの分類

@型5−新たに5aおよび5bの2亜型を設置する。抗原構造は5a=V : 3,4,また5b=V : 7,8である。

 A型3−従来の3亜型を以下のように2亜型に縮少する。

 3a=V : 6,7,8→3a=V : (3,4),6,7,8

 3b=V : 3,4,6

             →3b=V : (3,4),6

 3c=V : 6

 ただし,3aを3b,3bを3aとする呼称変更に係る提案は不採用。

2.S. dysenteriaeの分類

 赤痢菌provisional serotype 3873-50および3341-55は,S. dysenteriaeの新血清型であり,それぞれ型11および12として抗原表に追加する。

3.S. boydiiの分類

 赤痢菌provisional serotype 2710-54,3615-53およびE10163は,S. boydiiの新血清型であり,それぞれ型16,17および18として抗原表に追加する。

 なお,provisional serotype 1621-53については保留。また,同2000-53株は赤痢菌でなく大腸菌であると判定され,新血清型の追加は不採用となった。

以上の改訂に基づく赤痢菌の新たな血清学的分類表を別表に示す。



病原微生物検出情報 事務局


赤痢菌の新しい分類





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