HOME 目次 記事一覧 索引 操作方法 上へ 前へ 次へ

Vol.5 (1984/6[052])

<外国情報>
AIDS患者の血液,体液に注射または粘膜,皮膚経路で暴露された保健従事者の危険性の評価


1983年8月CDCは,確定または疑似AIDS患者の体液に経皮または粘膜,皮膚暴露した保健従事者のprospectiveサーベイランスを開始した。1983年末までに51例が登録された。AIDSを示唆する症状を示したものはいない。

調査された51名中19はニューヨ−ク,9はテキサス,7はペンシルバニア,5はニュージャージー,11は他の7州から報告された。暴露は1981年4月〜1983年11月までにおこった。追跡調査期間は1ヶ月〜32ヶ月(平均5.5ヶ月)である。24例が看護婦,9が臨床医,5が静脈切開担当者,3が呼吸器治療者,残り10は検査室およびその他間接作業員であった。18%が白人,75%が女性,年齢は18〜51歳(平均29歳)であった。

 主な暴露場所は直接患者治療場所で,27は患者病室または病棟,12は集中治療室,7は検査室,5は手術室または死体検視所でおこった。暴露の形態は,注射針刺傷(65%),鋭い道具での切傷(16%),粘膜暴露(14%),皮膚表面汚染(6%)である。汚染後処置は局所処置,抗B型肝炎グロブリンまたは免疫グロブリン投与および破傷風予防がなされた。

 本サーベイランスプロジェクトのゴールはAIDS患者の感染源として疑われる材料にさらされた保健従事者の感染の危険性を評価することである。疫学的事実はAIDS伝播が感染因子によるもので,血液または血液製剤の経皮接種または濃厚な性的接触により伝達されることを示唆している。通常の患者との接触または空気伝染の事実はなく,また,明らかな職業上の感染例はない。経皮または粘膜からの感染の危険性はまだ不明だが,あるとしても小さいことが示唆されている。

 危険性を最低とするための勧告がすでに出されている。CDCに報告された記載をみると,51例中1/3以上は勧告にしたがったために感染が阻止されているのかもしれない。保健従事者は勧告を熟知すべきである。AIDS患者はしばしばB型肝炎のhigh risk群だから,暴露後の処置は肝炎の指針に従うべきである。このサーベイランス計画の登録段階は3年間が計画されている。

(CDC,MMWR,33,13,181,1984)






前へ 次へ
copyright
IASR