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Vol.5 (1984/6[052])

<国内情報>
インフルエンザ流行に引き続き発生したコクサッキーウイルスB3型の流行


 長野県における今シーズンのインフルエンザ流行は,12月末に始まり,2月中旬に終息した。届出患者数は約3,000名で,例年に比べ小規模な流行であった。

今冬初のインフルエンザウイルスは,図1に示したように12月26日に採取された検体から検出され,その後2月20日までの間に120株検出された。検出されたインフルエンザウイルスは,すべてA(H1N1)型のA/Dunedin/6/83類似株であった。インフルエンザは2月中旬終息に向かったが,時を同じくして,インフルエンザと入れ替るかのようにインフルエンザ様患者の咽頭ぬぐい液からコクサッキーウイルスB3型が検出され始め,3月中旬までに79検体から56株が検出された。症状的にはインフルエンザとほとんど区別できなかったが,胃腸症状を伴う例がやや多いように見受けられた。また,インフルエンザほどの家族集積性は認められなかった。

 この他に,コクサッキーB3型は3月中旬に県内のスキ−場宿泊施設に宿泊中の大学生のグループからも5株検出されている。この際のおもな症状は発熱,頭痛,咽頭痛,嘔吐,腹痛などであった。

 また,2月から3月にかけて流行性角結膜炎および急性出血性結膜炎と診断された患者の結膜ぬぐい液からもこのウイルスが3株検出されている。

 なお,これらのコクサッキーウイルスB3型はFL,HEp2細胞でよく検出され,HeLa細胞で検出されたものはごくわずかであった。



長野県衛生公害研究所 中村 和幸


図1.インフルエンザ様患者からのウイルス検出成績





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