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Vol.5 (1984/3[049])

<外国情報>
ライ症候群サーベイランス 1982〜1983−米国


 CDCはライ症候群のサーベイランス年次を12月1日〜11月30日までとしている。症例の定義は

(1)急性非炎症性脳症で臨床的に意識変化でできれば8/mm3以下の髄液記録,または血管周囲や髄膜炎症を伴わない脳浮腫を示す脳の病理所見。

(2)生検または剖検による肝臓の脂肪変性,SGOT,SGPTまたは血清中のアンモニアのいずれかの3倍以上の上昇。(3)脳または肝臓異常について他の理由が説明されないものである。

 1982年,45州より222例,1983年(暫定的)は38州より191例が報告された。これは継続調査の始まった1976年以来最低数である(表)。性,年齢,人種は両年とも同様で,患者の半数が女,白人93%,黒人5%,アジア系1〜2%。ほぼ半分は5〜14歳,ほぼ40%は4歳以下,6〜7%が15〜17歳,1〜3%が18歳以上。多くは冬から春に入院,これは子供の呼吸器感染,とくにインフルエンザ(1982年は主にB型,1983年はA(H3)型)と水痘を反映している。患者のほぼ90%は嘔吐や神経症状発症前2週以内に前駆疾患にかかっている。この2年の前駆疾患は,呼吸器症状(57,73%),水痘(24,14%),呼吸器症状のない下痢(4%),発熱のみ(15,9%)など。2年間の死亡率は35%と32%であった。

 註:本集計数は多分過少評価だろう。CDCおよび州衛生局は死亡例に注目する傾向があるから,死亡率は多分過大評価であろう。2年間の低発生数はインフルエンザ流行と関係がありそうで,1982年のB型は低調であったし,1983年はやや大きかったが主にA(H3N2)(この型はB型よりもライ症候群と関連が低い)であったことを反映しているとみられる。水痘関連例も減少したが,水痘そのものの発生は1977年以降一定であり,減少の理由はわからない。

(CDC,MMWR,33,bS,41,1984)



Table Incidence of Reye syndrome, by year−United States, 1973−1974 and 1977−1983





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