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Vol.4 (1983/10[044])

<外国情報>
台湾におけるポリオの流行


 1982年5月29日〜10月26日に1031の麻痺性ポリオ患者が台湾衛生局に報告された(32号既報)。全体の発生率は人口10万対5.8で,台湾史上最大のポリオ流行であった。患者は生後2週から31歳(中央値6ヶ月),646(63%)は2歳以下,189は2〜5歳で年齢別発生率はそれぞれ10万対82.2および12.0,このうち95(9%)が死亡した。発生率は地理的に差があった(1.3〜15.2)。患者材料537のうち247(46%)からポリオウイルス1型が分離された。ワクチン歴のわかった患者881(86%)中,発症前28日以内の投与をさしひくと65%は非投与者,19%は1回,8%は2回,8%は3回以上投与者であった。台湾衛生局によれば1975〜1981年にポリオの流行はなく,1981年には生後1年までに80%が少なくとも2回の3混生ワクチン投与を受けている。WHO cluster sampling method(1年齢群7人で,30集団のランダム抽出)による調査では12〜35月の子供の83〜93%が流行前に2回以上の免疫を受け,全くワクチンを受けていないのは7%以下であった。最初5歳以下に,ついで15歳までに生ワクチンの集団投与が行われ,その後の免疫レベル測定では2回以上の投与普及率は91〜99%となった。

 この例は生後早い時期に予防接種を受けることが大事であること,さらに長年ポリオウイルス活動がなく,しかも集団免疫レベルが全体としては比較的高い地域でなお流行がおこりうることを示した。潜在的感受性小集団が野生ポリオの伝播を支えうるとみられ,接種率の低い小集団の発見とこれに対する予防接種の重要性が強調される。

(CDC,MMWR,32,No.29,1983)






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