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Vol.4 (1983/10[044])

<外国情報>
Bacillus subtilisによる食中毒事例−英国


 3人の婦人の集会でインド料理がとられた。3人とも45分から60分後に胃けいれんと嘔吐を起こして病状は2時間程続いた。また,そのうち2名は翌朝下痢をみた。3種類の料理はすべてチキンであって,炒めごはんを添えてあった。発症の翌日,実際に食された食事の残渣の一部と,市販のものの数サンプルを検査に供した。吐物は残っておらず,糞便も不幸にして数日後のものしか検査に得られず,それからは腸内病原体は検出できなかった。

 食事残物の細菌検査によって総菌数ほぼgあたり2.5×107が検出された。大腸菌族(主としてAlcaligenes)が混在していたが,106/gがBacillus属であった。他のすべての食品標本からも高菌数が検出され,炒めごはんや煮たごはん,そしてカレーソースからは106/g,バター炒めのたまねぎからは107/g,そして2つの別々のチキンからは108/gであった。どの検査材料においてもBacillusが汚染菌の主体であって,カレーソースではこれが唯一の検出菌であった。菌はその後食品衛生検査室でBacillus subtilisと同定された。毒素型,感染型の細菌性下痢疾患の関係菌は全く検出できなかった。環境保健調査官の査察によって,料理場の不備が指摘された。

 B.subtilisの存在が圧倒的で他の病原菌が全くないことから,これが原因菌と推定できるが,これまでの報告の3事例でも共通していることは,潜伏期間が非常に短いことである。英国での東洋風調理の仕方において改善すべき点が指摘された。

(CDR,83/33,6)






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