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Vol.4 (1983/10[044])

<国内情報>
熊本県における無菌性髄膜炎の流行について


 本年春から夏にかけてエコーウイルス30型による無菌性髄膜炎が流行したのでその概要を報告する。熊本県下の流行は5月から8月にかけてみられ,サーベイランス患者定点観測医から報告された患者数は216名にのぼった。ピークは6月,7月で,年齢は1歳から9歳が多かった(表1)。地域別にみると,熊本市に隣接する宇土市およびその近郊で特に患者が多く発生し,153名であった。症状は発熱と髄膜刺激症状であった。

 5病院の患者の糞便とリコール,またはどちらか一方についてHELおよびHEp2細胞を用いてウイルス分離を試みた。77名117検体中,33名37検体からウイルスが分離された。そのうち30名,34株はエコー30型と同定された。残り3株については現在同定中である。リコールから5株,糞便から32株分離され,糞便からの分離率がよかった。HEp2細胞よりもHEL細胞の方でよく分離された。現在ペア血清について,標準エコーウイルス30型に対する中和抗体価を測定中である。



熊本県衛生公害研究所 甲木 和子
化学及血清療法研究所 吉川 ひろみ


表1.月別,年齢別患者数





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