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Vol.4 (1983/9[043])

<国内情報>
香川県下の手足口病の流行について


1.流行の状況

 県下では,1981年9月初旬,西香川地域を中心として始まった手足口病の流行は患者数の多少はあるが現在までつづき,毎年,冬期と夏期を中心とした二峰性の流行となり,9月まで全県下で続いた。1982年6月をピークとした流行は一定点あたり25.8人である。それ以降12月までは西香川地域のみの流行であったが,1983年に入ってこの地域での流行終息に代わって,東香川地域で5月初旬より流行が始まり,6月をピーク(県全体一定点11.5人,高松地区26.2人)として,7月に入って減少に転じている。この間,西香川地域では少数の散発のみである。

2.ウイルスの分離状況

 1982年8月までの分離ウイルスは全てCox.A16で,計67株が分離され,11月から高松地区を中心として東香川地域でエンテロ71が分離され,以降同ウイルスのみで,現在49株が分離されている。昨年本ウイルス流行前の県下の中和抗体保有は,エンテロ71:0%(3歳以下),Cox.A16:43.2%(3歳以下)で,全県での流行が予測されたが,現在,東香川地域での流行で,西香川地域では散発である。

3.ウイルスの分離方法

 Vero細胞を使用し,5代まで盲継代しているが,初代におけるCPEの出現頻度は低率である。分離率は患者発生のピーク時には高率であるが,その他の月は低い。

4.手足口病によると思われる無菌性髄膜炎

 臨床的に手足口病によると思われる髄膜炎の報告は,4月1名,5月1名,6月7名,7月2名の計11名で,発症は発疹と同時が3名,2病日2名,3病日4名,発疹がほとんど消退した4病日1名,5病日1名で発熱,嘔吐,頭痛で発症している。発熱は39.5℃〜38℃で有熱期間は平均4.9日で約10日前後で治癒している。また,発症時痙攣発作をみた1名も中枢神経障害等の異常もなく全治している。年齢は1歳2ヶ月から7歳11ヶ月で特に4歳児に多く,性別では男児7名,女児4名である。

 髄液からのウイルス分離はできなかったが,エンテロ71抗体の有意の上昇が8名にみられた(3名は未検査)。なおCox.A16は全て4歳以下であった。

 一般的症状は,昨今(Cox.A16)の流行と大差ないが,なかに手,足,臀部にみられる水疱疹が小さく,口腔粘膜疹は多いものがみられた。



香川県衛生研究所 山西 重機,岡崎 秀信
高松小児科談話会 水嶋 利治,岡本 喬,小谷 信行








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