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Vol.3 (1982/12[034])

<外国情報>
Salmonella oranienburg感染の集団発生(ノルウェイ)


1981年11月から1982年9月までの期間,細菌学的に確認されたSalmonella oranienburg感染例が計126報告された。この菌による感染はこの国ではこれまで一般に稀であって,1975年から1980年においては年に4例をこえることはなかった。しかもそれらの患者は東アジア諸国からやってきた1歳未満児の海外感染例が大部分であった。

現在の流行は全国的なものであるが,ノルウェイの南東部,中央部,南西部に集簇している。報告のないのは18郡中6郡にすぎない。2大都市のオスロとベルゲンからそれぞれ数例しか報告されていない。発生数の分布は週,月に平均的で,年令層は85%が25歳以上である。報告症例の1/4〜1/2が入院しており,ある患者は敗血症を伴った。

保健局は食品試験室と協力し,本年6〜7月以来流行の発生源の追跡に努力してきた。8月27日,Trφndelagの食品試験室がS. oranienburg感染主婦のいる家庭でつくった保存肉製品からその菌を分離するのに成功した。この肉製品を作るのに用いた調味料をいくつか調べてゆくうちに,S. oranienburgはこしょうの箱から分離されたのである。このこしょうは近くの店から買ったものであるが,その店は全国に広く販売網をもつ会社に属している。さらに同試験室は,患者のいる他の家庭や同系列の他の店から収去した6つの未開封のこしょう箱や袋からS. oranienburgを分離するのに成功した。

この汚染黒こしょうは1981年4月と8月に,西独を介してブラジルから輸入した2つの委託販売に限られているように思われる。他の輸入業者によるこしょう銘柄は,かなり広範に調べたが培養陰性であった。こしょうの汚染の成立をあきらかにするための調査が継続中である。

(WHO,WER,57,43,329,1982)






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