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Vol.3 (1982/4[026])

<国内情報>
香川県における流行性嘔吐下痢症について


 本県においては,厚生省サーベイランス事業の18疾病のうち,その他の感染症下痢症をa.流行性嘔吐下痢症,b.その他の感染症下痢症の2つに分けて集計しているが,本疾病の流行が始まったのが11月中旬からで,状況は表1の如くである。

 (1) 患者発生状況

 10月には発生数0であったが,11月10日頃より増加しはじめ,12月をピークに以後減少している。集団発生もほとんどが12月で,1月,2月には報告されていないが,インフルエンザとの関連があるかもしれない。患者年令層は3才〜9才に多くみられた。

 (2) 臨床症状

 嘔吐を必発の主症状とし,腹痛,発熱を伴い,下痢は少数で,通院日数も1〜3日と比較的軽く,4〜6日を要し,ほとんどが下痢を生ずる乳児嘔吐下痢症とはやや異なっている。調査した91名の主な症状は表3のとおりである。

 (3) ウイルスの分離状況

 検出は常法により電顕法でおこなったが,分離は極めて低率で11月から1月にかけて25〜30nm粒子4株と30〜35nm粒子2株の二種類が確認されたが,粒子数は少数で見逃しによる陰性例も相当あるものと考えられる。県下における本疾病の流行は,この小型球状粒子であると推定される。



香川県衛生研究所 岡崎 秀信 山西 重機
松原小児科医院 水島 利治
国立香川小児病院 古川 正強


表1.患者発生状況(11病院12医院の集計)
表2.集団発生例
表3.臨床症状





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