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Vol.2 (1981/9[019])

<外国情報>
オランダにおけるβ−ラクタメイス産生リン菌(PPNG)の調査−あたらしいプラスミドの組合せをもつ株の出現


オランダでは1976年に最初のPPNGが分離されたので,公衆衛生研究所のネットワークによってPPNGのスクリーニングを実施し,疑わしい株は確認のため国立保険研究所(NIH)に送付して,さらに薬剤感受性試験とプラスミド分析をうけるサーベイランスシステムが設立された。

1976年から1979年にかけてPPNGの分離頻度は上昇し,全分離株の約3%に及ぶようになった。1979年まではオランダで分離されるPPNG株のほとんどすべては塔Aジア型狽ナあって,4.5メガダルトンのペニシリナーゼ支配プラスミドをもち,それに加えて2.4メガダルトンの伝達性プラスミドをも保有していた。そしてごく散発的な株のみが伝達性プラスミドを伴わない3.2メガダルトンのペニシリナーゼ支配プラスミドをもっていた。これは一般に西アフリカに由来する株にみられるものである。伝達プラスミドのないことは,これらの株のペニシリン耐性が他のリン菌や大腸菌に移らないという観察と矛盾しなかった。

ところが1980年6月に,その小さい方の3.2メガダルトンのアフリカ型ペニシリナーゼ支配プラスミドと伝達プラスミドの双方のそろった株が分離された。1981年の3〜4月までにこの新しい株はPPNGの80%を占めるまでになった。このことはこの株が他のPPNG株よりも有利な選択性をもっていることを示唆している。

調査活動が同様の調子で継続していた同機関に,PPNG感染症例数は4半期あたりで35から375に増加した。しかし,リン菌感染患者の総数においてはごくわずかの上昇であった。

(WHO,W.E.R.No.28,1981)






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