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Vol.2 (1981/8[018])

<外国情報>
髄膜炎菌性疾患のサーベイランス(米国)


1981年の最初の9週間において,髄膜炎,髄膜炎菌血症,敗血症性関節炎,肺炎,骨髄炎を含む893例の髄膜炎菌感染症がCDCに報告された。1980年の同期間における報告数は528であって,これに比べて69%の増加である。一番注目されるのはテキサス州(前年度の30例に対して115例),フロリダ州(29例に対し81例),コネチカット州(8例に対し26例)である。集団発生をみたのはヒューストンを含むテキサスのHarris郡とマイアミを含むフロリダのDade郡の二地区である。

Harris郡の集発例はインフルエンザの大流行に直接ひきつづいたものであって,2つの特徴があった。ひとつは流行の最中に主流血清型が B型からC型に変化したことであり,もうひとつはある小学校における5例の連鎖である。

1月28日から2月2日にかけて小学6年のクラスで発生したこの5例の連鎖は,すべて女子であり,髄膜炎を伴わない菌血症の1死亡例,髄膜炎を伴う3例の菌血症,そして1例の敗血症関節炎である。衛生当局の係官はこのクラスの生徒がハイリスクグループに属するとみて,リハンピシンを用いた予防内服とA/C2価の髄膜炎菌ワクチンの投与を指示した。以後新症例の発生をみていない。

1月以来フロリダ州Dade郡で報告された34症例のうち9例が死亡しており,また,4例は既感染者による家庭内続発感染である。30例の初発感染者のうち21例はスペイン系住民であり,サルファダイアジン耐性のB血清型が分離株の大部分を占めていた。

編集部註:今世紀前半,8〜12年を周期として広範囲な髄膜炎菌症の流行があった。しかし,理由はわからないが,過去34年間は大流行はひとつも発生していない。1946年以来は人口10万あたり1〜3人の患者発生率で安定しており,季節的には晩冬から初春に多い。

患者との直接接触者の感染危険率は一般の人達の1000倍にも及ぶ。このような二次感染者の発病はその3分の1において原患者の入院後4日以内におこっている。

(WHO,WER,No.27,10 July,1981)






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