HOME 目次 記事一覧 索引 操作方法 上へ 前へ 次へ

Vol.2 (1981/4[014])

<外国情報>
コレラサーベイランス(多剤耐性O群1 V.cholerae)


タンザニア共和国−エルトール型コレラ菌多剤耐性株による広範囲で長期にわたる流行がタンザニア共和国で発生したのは1977年である。この株はアンピシリン(AMP),クロランフェニコール(CHL),カナマイシン,ストレプトマイシン,スルフォンアミド,テトラサイクリン(TET)耐性を賦与するC群プラスミド(ACKSSuT)をもっており,その後バングラディッシュから報告されたアンピリシン,カナマイシン,ストレプトマイシン,スペクチノマイシン,テトラサイクリン,スルフォンアミド,トリメトプリム耐性株(AKSSpTSuTm)とは同じでない。

この株がタンザニアで発見されたあとすぐに,コレラ患者との接触者に対するテトラサイクリンの予防内服を制限する指示が出され,また,1980年10月には抗菌剤の使用は確定診断患者にのみかぎることとし,予防的使用は一切禁止された。この期間,Dar es SalaamにあるMuhimbili Medical Centreの細菌検査室に送付された分離株から無作為に標本をえらんで,AMP,TET,CHLとCotrimoxazole(COT)に対する感受性試験をルティーンに行った。これまで検査された株の感受性パターンと,この国でコレラ防疫に配布されたTET量とを表1に示した。

1977−1978の期間,14971症例が報告され,1979−1980の期間(5月末まで)3959症例が報告された。テトラサイクリン使用の減少に伴って耐性株の分離率が激減した。同時にコレラ確定患者も減少した。最近,コレラ治療に対してとられた化学療法剤の制限措置は耐性株をさらに減少せしめ結局は消失せしめるであろう。

(WHO,WER,No.3−23,Jan.,1981)



表1.El Tor型コレラ菌の薬剤感受性(タンザニア共和国,1977−1980)





前へ 次へ
copyright
IASR