HOME 目次 記事一覧 索引 操作方法 上へ 前へ 次へ

Vol.2 (1981/4[014])

<国内情報>
定点観測におけるアデノ4型の分離


当所では1972年以来小児のウイルス感染症の定点観測を行っている。この中でアデノウイルスは年間を通して分離される。分離ウイルスは2,3型を中心として他に少数ながら1,5,6,7型が分離されている。年により2型が主流となる年,3型が中心となる年があることがわかってきた。

アデノ4型は従来国内ではみられなかったウイルスであるが,1979年に入って各地で報告がみられる様になった。我々も1979年10月31日の咽頭炎の患者材料から観測開始以来初めて分離して以後この4型はしばしば分離されるウイルスとなった(表1)。

分離にはすべての材料についてVero, FL, Hep−2細胞を用い,用に応じてAGMK,MDCK細胞,フ化鶏卵,SM等を用いている。アデノ4型は他の型と同様にHEp−2,FL細胞に感受性があり共に4型特有のCPEがみられる。すべて接種後8〜10日で盲継代したが,CPEは早いもので5,6日頃からみられ遅くとも盲継代後1〜4日で出現した。同定は予研分与の抗血清を用い型のごとく行った。

1979年10月に初めて分離して以来,21名21株のアデノ4型を分離したが,患者材料はいずれも発病後3日目までの咽頭ぬぐい液である。

分離された患者の年令をみると4〜17才までの患者材料から分離され,4〜5才2株,6〜10才13株,11〜15才2株,17才1株,不明1株で年長児から分離された。

21名の患者の臨床診断名は上気道炎(11名),咽頭炎(6名),咽頭結膜熱(2名),インフルエンザ様(2名)である。21名全員の38〜39℃の発熱がみられその体温分布を図Tに示す。その他の症状は図Uに示すとおりである。咽頭発赤は,16/21名(76%)にみられるが軽度のものが多い。また眼症状(結膜炎,結膜充血)が多くみられるのが特徴である。



鳥取県衛生研究所 石田 茂


表T.最近のアデノウイルス分離状況
図T.アデノ4型における体温分布
図U.アデノ4型の症状





前へ 次へ
copyright
IASR