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Vol.1 (1980/12[010])

<国内情報>
富山市内河川水のウイルス汚染に関する定点観測


 富山市の中心部を流れる松川(M),赤江川(A),いたち川(T−1)にそれぞれ一ヵ所ずつの定点,そして3河川の合流した地点(T−2)に一定点を設定し,1979年7月から原則として月1回の河川水調査を行なった。これらの河川は,水質検査の結果から水質汚濁に係る環境基準の分類ではC類型の河川である。

 各定点(M,A,I−1,I−2)の河川水1lと,I−2地点では採水の3日前に設置したタンポン(50gの脱脂綿)2ヶから絞り出した河川水約700〜800mlを調査検体とし,次のような処理方法によって河川水からのウィルス検出を行なった。河川水にMgCl2(0.05M)を加え,PH3.5に調整後,Cellulose nitrate membrane filter(東洋科学TM−2,0.45μm)でろ過し,河川水中のウイルスをmembrane filterに吸着させた。次にmembrane filterを3%Beef extract solution 10〜20ml中に入れてsonication5分行い,membrane filterから吸着ウイルスを溶出させた。溶出ウイルスを含んだBeef extract solutionを培養細胞(MK,Vero,HeLa,HEL,HEK cells)に接種した。

 各定点からのウイルス検出状況は表1,表2のようであり,1979年7月から1980年8月まで74検体のうち45検体,252株のウイルスを検出した。ウイルス検出状況,特にPolioの検出状況から3河川とも人由来ウイルスでかなり汚染されていることが判明した。また,富山県では1979年に無菌性髄膜炎患者や健康者からEcho 6,Cox.B4,5が分離されており,同年河川から検出したEcho,Cox.Bも人由来と考えられ,住民のウイルス感染の実態を反映していると推察される。調査地点は公共下水処理場の放流水は排出されておらず,そして下水処理完全設備地域内であるが,上流地域は汲取り式や小規模浄化槽を使用しており,小規模浄化槽処理水や生活排水が河川を汚染したのであろう。一方,Reoは人や動物の間に広く感染しているといわれているが,河川からほとんど毎月検出され,河川に多数存在することからReoウイルスの生態学的調査の必要性を示唆している。

(第28回 日本ウイルス学会総会にて発表)



富山県衛生研究所 松浦 久美子


表1.VIRUS DETECTION FROM RIVER WATERS IN TOYAMA CITY
表2.VIRUS DETECTION FROM RIVER WATERS IN TOYAMA CITY





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