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Vol.1 (1980/11[009])

<外国情報>
ニューメキシコとカリフォルニアにおけるペニシリナーゼ産生リン菌の検出


 最近,ニューメキシコのAlbuquerque市とカリフォルニアのサンジエゴ市において,ペニシリナーゼ産生リン菌(PPNG)によるいくつかの感染例がみられた。これらの症例は,疫学的には極東で獲得した感染と結びついたものであった。

 Albuquerque市の場合:1980年4月21日から5月16日にかけて,PPNGによる5症例がニューメキシコ州のこの市で検出された。発見の端緒となった患者は20才の男子で極東において罹患したもので,当市の病院で400万8千単位の水性プロカインペニシリンGの注射とprobenecid1gの経口投与で治療された。しかし症状は改善されなかった。2日後,家庭医は塩酸テトラサイクリン500mgを1日2回,21日間の処方を出した。症状は軽減したが,この間患者は3名の女性と性交渉をもった。これらの女性は,PPNGによる子宮頸部の感染を惹起し,うち一人はさらに卵管炎を併発した。他の一人は症状はないものの咽頭感染を発した。これらの女性の一人の相手となったさらに一名の男性は,尿道と咽頭の感染をおこした。

 以上一連の感染がペニシリ耐性菌によるものとわかってからは,合併症のない4名の患者はスペクテノマイシン2gの筋注で治療された。卵管炎をおこした患者には,2gのスペクチノマイシン筋注を一日2回3日間,さらに1日1回7日間つづけた。治療終了後の培養は,全例PPNG陰性であった。

 サンジエゴの場合:1979年7月から,1980年3月にかけて,PPNGによる子宮頸管感染に伴った卵管炎の4症例がサイジエゴでおこった。それぞれ,極東でリン疾を得た者との性交渉に由来するものであった。各患者はそれぞれことなる治療法を受けた。(1)塩酸テトラサイクリン500mg経口投与毎日5日間,(2)スペクチノマイシン2g静注一日3回5日間,(3)cefoxitin1g静注6時間毎7日間,(4)cefoxitin2g筋注ならびにprobenecid1g経口,いずれの患者も症状消失し,筋培養も陰性化した。

(MMWR,29,No.32,8月15日,1980)






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