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Vol.1 (1980/5[003])

<連絡事項>
エンテロウイルスCF抗体検査のための血清収集に関する協力お願い


近年ウイルスの血清抗体価測定が民間の検査機関で行われるようになったことは喜ばしいことであります。しかし,問題がないわけではありません。その一つがエンテロウイルスのCF抗体検査であります。各検査機関は競い合うように多数のエンテロウイルスをCF抗体検査可能項目の中に加えております。御承知のように,乳児・幼児のエンテロウイルスの初感染ではCF抗体応答は感染ウイルスに特異的でありますが,種々の型の感染を繰りかえして行くと産出されるCF抗体は多数のエンテロウイルスの型に対して反応することが知られております。したがって,エンテロウイルスのCF抗体検査においてはその抗原型は症例ごとに選ぶ必要があると考えられます。ところが,現在その指針となるべきものがないために,臨床家は検査依頼表にあるエンテロウイルスのすべての項目について○印をつけることになり,ムダな検査も行われることにもなっております。

エンテロウイルスのCF抗体検査を意義あるものとするためには,「その検査によって何がわかるか」がはっきりしていなくてはなりません。これはウイルス研究者の協力なしにはわからないものです。

私共は次のような研究検査を計画しました:@エンテロウイルスが分離され,その型が同定されている患者の血清を集める,Aその血清について,現在得られるできるだけ多くのエンテロCF抗原(Cox A7,9.16;Cox B1〜6;E4,7,11,等)を用いてCF抗体価を測定する,B患者に関する情報と分離されたウイルスの型とCF抗体価の結果から,エンテロCF抗体検査依頼のための指針を作る。上記@に関しては,私共の手許にある血清の数は多くありません。最低100検体について検査したいと考えているのですが,このような血清は各都道府県の衛生研究所以外からはなかなか得られないものと考えられます。この検査結果はウイルス研究者のためよりは臨床家のためのものでありますが,各衛研の御協力をぜひお願いする次第であります。

収集したい血清の条件は次の通りです:@量は0.2ml程度,抗補体性のないもの(冷凍保存が数年以上になっていないものが望ましい),A分離ウイルスの型,患者年令,性別,病名,発病時期(年月),採血時病日(発熱日から起算),等がわかっているもの。御協力願えましたら,下記に御連絡下さい。



連絡先:

〒190−12 武蔵村山市学園4−7−1

国立予防衛生研究所ウイルス中央検査部

井上 栄,長谷川 斐子,松野 重夫

電話(0425)61−0771,内線244



予研ウイルス中央検査部 井上 栄





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