眼トキソカラ症、2009〜2010年―米国
(Vol. 32 p. 239: 2011年8月号)

眼トキソカラ症は、イヌ回虫Toxocara canis 、ネコ回虫Toxocara cati などによる動物由来感染症であり、虫卵の糞口感染によりその幼虫がヒトの眼疾患を引き起こす。

今回、米国で初めてのインターネットを使った全国調査が行われた。米国眼科学会と共同で、米国ブドウ膜炎学会、米国網膜炎学会、米国小児眼科および斜視学会に所属する3,020名の眼科専門医から情報収集し、599名(回答率19%)から回答が得られた。

2009年9月〜2010年9月の期間、68例の新規診断症例が報告され、うち44例から情報が入手できた。症例の年齢は1〜60歳(平均15.5歳、中央値8.5歳)。症例居住地は国内23州とコロンビア特別区、プエルトリコにまたがり、25例(57%)が米国南部居住者だった。また、33例中21例(64%)にペット飼育歴があった。30例からの臨床データによると、視覚障害25例(83%)が最も多く、うち失明は17例(68%)であった。その他、飛蚊症13例(38%)、赤目12例(32%)、羞明10例(27%)などの症状が報告された。ELISA 法で検査が行われた20例のうち14例(70%)が陽性であった。また、12例のうち11例(92%)にコルチコステロイド投与、28例のうち7例(25%)に外科手術が施された。

眼トキソカラ症はまれな疾患であるが、特に小児において失明を引き起こすことがある。ペットの糞の処理、定期的なペットの回虫の駆除などによる予防が重要である。

(CDC, MMWR, 60, No. 22, 734-736, 2011)

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