厚生労働省院内感染対策サーベイランス検査部門データを用いた多剤耐性アシネトバクターの国内分離状況の訂正と追加
(Vol. 31 p. 274: 2010年9月号)

病原微生物検出情報 Vol.31, No.7 (2010年7月)に掲載された厚生労働省の院内感染対策サーベイランス(JANIS)事業の2007年7月〜2009年12月までのアシネトバクター属における多剤耐性株の割合の年次推移(1ページ特集の表1)、多剤耐性アシネトバクターが分離された検体の内訳(11ページ特集関連情報の表1)についての集計結果に誤りがありました。2010年6月までのデータを含めた更新情報として修正させていただきます(以下、表1および表2)。なお、2009年、2010年1月〜6月は暫定データを用いた情報です。

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JANIS検査部門では、多剤耐性アシネトバクターは9割が入院患者から分離されていた。入院患者からの報告を集計すると、全菌株数は2007年7月〜12月854,802株、2008年2,202,484株、2009年2,743,899株、2010年1月〜6月1,420,374株、合計7,221,559株で、この中でアシネトバクター属は71,065株(1.0%)であった。アシネトバクター属の中ではA. baumannii と報告された菌株が最も多く、約6割を占めていた。アシネトバクター属の中で多剤耐性アシネトバクターと判定された菌株は71,065株中149株(0.21%)で、約6割がA. baumannii と報告された菌株であった(表1)。分離された検体は呼吸器系検体(47.0%)および尿(19.5%)が多くを占めた(表2)。

多剤耐性アシネトバクターが分離された入院患者では、男女比は6:4でやや男性が多く、年齢は0〜98歳と幅広い分布を示し、その中央値は71歳であった。

国立感染症研究所細菌第二部
山根一和 松井真理 鈴木里和 荒川宜親
厚生労働省院内感染対策サーベイランス事務局
山岸拓也 筒井敦子

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