寿司および会席料理が原因と推定される毒素原性大腸菌O27:H7の集団食中毒事例−千葉市
(Vol. 29 p. 227-228: 2008年8月号)

2008年4月、千葉市内の飲食店から提供された食事(寿司、会席料理)を原因とする毒素原性大腸菌(以下ETEC)O27:H7による集団食中毒が発生したので、その概要を報告する。

2008年4月7日午前9時30分、千葉市内の病院医師から、4月3日に市内の飲食店から寿司の出前を取り寄せ、喫食した病院の職員32名のうち25名が翌4日から腹痛、下痢、吐き気などの食中毒症状を呈している旨、保健所に届出があった。調査したところ、4月3日に当該飲食店で喫食した他の2グループ数名も同様の食中毒症状を呈していることが判明した。調査の結果、有症者の共通食が、3日夕方6時〜12時に供された食事に限られていることから本施設を原因とする食中毒と断定された。

細菌学的検査を、施設内の器具・設備のふきとり6検体、病院職員患者糞便15検体、他グループ患者糞便2検体および調理従事者便2検体について行った。その結果、患者糞便17検体からST毒素産生のETEC O27:H7が検出された。本食中毒の発生以前に体調異常を訴える調理従事者は認められなかった。

糞便のETECの検査は、DHL培地からcolony sweep-PCR法によりSTおよびLT遺伝子の検索を行い、毒素遺伝子が確認されたものは、引き続き単独コロニーについて検索し、ST毒素産生性およびO27:H7の確認を行った。

検出したST毒素産生性ETEC 17株のパルスフィールド・ゲル電気泳動(以下PFGE)および薬剤感受性試験を実施した。制限酵素Xba IによるPFGEパターンはすべて同一であった()。薬剤感受性試験は、すべての株が8薬剤(FOM、GM、TC、NFLX、NA、KM、CTX、CP)に感受性を示し、TMP、ST合剤には耐性を示し、2株においてはABPCおよびSMに耐性を示した。

なお、当該食品および原材料については保存されておらず、検査に供することができなかったため、感染経路については特定できなかった。

千葉市環境保健研究所 鶴田美好 木村智子 岩撫晴子 須賀好弘
千葉市保健所食品安全課

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