栃木県における流行性角結膜炎患者からの5種類の細胞によるウイルス分離結果
(Vol. 29 p. 101-101: 2008年4月号)

流行性角結膜炎患者から採取された結膜ぬぐい液についてPCR 法およびウイルス分離によってアデノウイルス(Ad)を検査した。検体は2007(平成19)年7月27日〜12月27日に採取された20件を用いた。

ウイルス分離は1週間培養して、8代まで継代した。PCRはAllardら1)の方法を用い、10件(50%)で陽性であった。ウイルス分離は、分離率がA549、HEp-2、CaCo-2細胞の順に高く、それぞれ9件(9/20; 45%)、4件(4/20; 20%)、2件(2/19; 11%)であったが、VeroおよびRD-18S細胞ではウイルス分離陰性であった。ウイルス分離陽性となった継代数はA549細胞およびCaCo-2細胞はすべて2代以内で陽性になったのに対し、HEp-2細胞では4〜8代を要した。

分離ウイルスは中和またはシークエンシングによって、Ad8、3およびが37がいずれも3株、Ad7が1株と同定された。

以上のことから、ウイルス分離は細胞によりAd検出率に差があり、A549細胞が最も検出率が高く、分離に要する日数も短いことが示唆された。

 文 献
1) Allard A, et al ., J Clin Microbiol 39: 498-505, 2001

栃木県保健環境センター 大金映子 舩渡川圭次
国立感染症研究所感染症情報センター 藤本嗣人 浜本いつき 岡部信彦

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