2007/08シーズンのインフルエンザウイルスAH1亜型とAH3亜型の分離―富山県
(Vol. 29 p. 46-46: 2008年2月号)

富山県における今シーズンのインフルエンザの患者報告は、第43週(10/22〜10/28)から始まり、定点当たり1.0人を前後していたが、第50週(12/10〜12/16)には3.88人まで増加した。当初は砺波厚生センター(HC)からの報告数が多く、第49週(12/3〜12/9)以降には、高岡HCと新川HCからの報告数も増加した(図1)。今シーズンの流行は過去10シーズンで最も早い立ち上がりを示したが、局地的に流行している傾向があり、患者数の増加は緩やかである。

10/27〜12/6の間に定点医療機関で採取された臨床検体(鼻汁)からウイルスを分離した。分離はMDCK細胞を用いて行い、分離されたウイルスは、国立感染症研究所から配布された2007/08シーズン用の同定キットを用いて、赤血球凝集抑制(HI)試験(0.75%モルモット赤血球使用)により同定した。

これまでに、A型インフルエンザウイルスが61株分離され、その内訳はAH1亜型が13株、AH3亜型が48株だった。それらのうち57株は砺波HC管内の3カ所の定点医療機関で採取された検体からのものであり、同地域の流行状況を反映していた。AH1亜型は、第43〜47週にかけて主に南砺市の患者から分離されているのに対し、AH3亜型は、第45週以降に主に砺波市とその周辺の高岡市の患者から分離されており、地域によって流行した亜型および時期が異なっていた(図2)。今後の発生動向に注目していきたい。なお、B型は分離されていない。

分離されたAH1亜型の抗原性は、抗A/Solomon Islands/3/2006(ホモ価320)に対してHI価160が1株、80が2株、10〜40が10株であり、2007/08シーズンのワクチン株であるA/Solomon Islands/3/2006から大きくずれている株が多かった。一方、AH3亜型の抗原性は、抗A/Hiroshima(広島)/52/2005(ホモ価640)に対してHI価320〜640が41株、160が7株であり、ワクチン株であるA/Hiroshima(広島)/52/2005から大きくずれている株は少なかった。

富山県衛生研究所
堀元栄詞 中村一哉 小原真弓 岩井雅恵 長谷川澄代
滝澤剛則 倉田 毅

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