2008年南半球インフルエンザシーズンのインフルエンザワクチン推奨株

(Vol. 28 p. 327-328: 2007年11月号)

今回の指針は、南半球の次の冬(2008年5月〜10月)におけるインフルエンザワクチン推奨株についてであり、北半球での2008年11月〜2009年4月については、2008年の2月に発表予定である。

2007年2〜9月までのインフルエンザ流行状況は、北半球の国々では、アメリカではA/H1N1亜型ウイルスが優位を占め、カナダやヨーロッパではA/H3N2亜型ウイルスが優位を占めた。また、アジア、東ヨーロッパ、中東のいくつかの国々では、日本と同様にA/H1N1亜型ウイルス、A/H3N2亜型ウイルス、B型ウイルスのすべての型が流行した。一方、南半球の国々では、南アメリカではA/H3N2亜型ウイルスとB型ウイルスが優位を占め、オセアニアではA/H3N2亜型ウイルスとA/H1N1亜型ウイルスが優位を占めた。

またA/H5N1亜型ウイルスについては、2007年2月〜9月19日までの間に、58例のヒト症例、うち36例の死亡例が報告された。これらの症例は、カンボジア、中国、エジプト、インドネシア、ラオス、ナイジェリア、ベトナムから報告された。WHOのインフルエンザパンデミックレベルはフェーズ3のままであり、持続するヒト−ヒト感染のエビデンスはない。

最近のウイルス分離株の抗原性は、A/H1N1亜型ウイルスについては、A/New Caledonia/20/99と異なる分離株が多く、A/Solomon Islands/3/2006に類似の株が多いという結果であった。A/H3N2亜型ウイルスについては、一部のウイルス株で、ワクチン株であるA/Wisconsin/67/2005やA/Hiroshima(広島)/52/2005に類似の株も存在したが、ほとんどのウイルス株については、これらのワクチン株とは抗原性が異なり、A/Perth/27/2007、もしくは、A/Brisbane/10/2007と類似の抗原性を示した。B型ウイルスについては、B/Victoria/2/87 系統とB/Yamagata(山形)/16/88系統の流行が継続しているが、最近は後者の割合が高くなっている。大部分のB/Victoria/2/87系統の株は、B/Malaysia/2506/2004と近く、B/Yamagata(山形)/16/88系統の株は、B/Florida/4/2006やB/Brisbane/3/2007などの株により近いということがわかった。

以上のような流行状況、およびウイルス分離株のHI試験の結果などから、次の2008年シーズンの南半球冬季のインフルエンザワクチン推奨株としては、

 A/Solomon Islands/3/2006(H1N1)類似ウイルス 
 A/Brisbane/10/2007 (H3N2)類似ウイルス 
 B/Florida/4/2006類似ウイルス 
に決定した。

(WHO, WER, 82, No.40, 351-356, 2007)

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