日本のAIDS患者・HIV感染者の状況
  (平成19年1月1日〜4月1日)

(Vol.28 p 173-175:2007年6月号)
厚生労働省健康局疾病対策課
平成19年5月22日

エイズ動向委員会委員長コメント(要旨)

【平成19年第1四半期】
1.今回の報告期間は2007(平成19)年1月1日〜2007(平成19)年4月1日までの約3ヵ月である。

法定報告に基づく新規HIV感染者報告数は227件(うち男性206件、女性21件。前回報告235件、前年同時期198件)で、2006(平成18)年第4四半期の235件に次いで過去4位である。

一方、新規AIDS患者報告数は81件(うち男性73件、女性8件。前回報告85件、前年同時期92件)で過去14位である。

2.感染経路別に見ると、新規HIV感染者では同性間性的接触によるものが141件(全HIV感染者報告数の約62%)と最も多く、そのうち132件が日本国籍男性であった。

また、異性間性的接触による新規感染者報告数は60件(全HIV感染者報告数の約26%、うち男性45件、女性15件)である。

一方、新規AIDS患者では同性間性的接触によるものが25件(全AIDS患者報告数の約31%)、異性間性的接触によるものが25件(全AIDS患者報告数の約31%、うち男性18件、女性7件)である。

年齢別では、新規HIV感染者は20〜30代が多数(約67%)を占め、新規AIDS患者は30〜50代と広く分布している。

要約すると、感染者・患者とも約90%を男性が占め、その中でも同性間性的接触による感染が約60%を占めている。

3.2007(平成19)年1月〜3月末までの保健所におけるHIV抗体検査件数は26,308件、自治体が実施する保健所以外の検査件数は4,840件、保健所等における相談件数は49,132件となっており、いずれも前年同時期より大幅に増加した。

4.2007(平成19)年1月〜3月までの献血件数(速報値)は1,222,911件(昨年同時期速報値1,227,759件)で、そのうちHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数は19件(昨年同時期速報値25件)であった。10万件当たりの陽性件数は1.554件(昨年同時期速報値2.036件)で、前年より減少した。

5.新規HIV感染者報告数を感染経路別に見ると、男性同性間性的接触は依然半数を超えている。また年齢別では、20〜40代にHIV感染が広がっているものの、前年と比べて30代以上の増加傾向を認めた。このような傾向と、検査・相談件数の増加が、去年6月に実施したHIV検査普及週間以降も持続し、さらに世界エイズデー期間前後にかけて大幅に増加した後も高い水準で推移していることを合わせて考えると、利用者の利便性に配慮した検査・相談事業による検査体制の整備について一定の成果が認められる。

一方で、検査・相談件数が減少に転じている自治体もあり、今後も全国的に検査・相談件数の増加傾向が持続するのか注視していく必要がある。

6.各自治体においては保健所等を中心に、HIV検査普及週間を利用し、さらに利用者の利便性(夜間・休日等)に配慮した検査・相談事業を推進し、予防に関する普及啓発に努めることが重要であり、HIV感染の早期発見による適切な治療の促進と感染拡大の抑制に努める必要がある。

また、国民はHIV・AIDSについての理解を深め、身近な問題として積極的に予防に努めるべきである。早期発見は、個人においては早期治療、社会においては感染の拡大防止に結びつくので、HIV抗体検査の機会を積極的に利用していただきたい。

今月の表紙へ戻る


IASRのホームページに戻る
Return to the IASR HomePage(English)



ホームへ戻る