今冬のインフルエンザ総合対策

(Vol.27 p 315-316:2006年11月号)

1.はじめに

本年度のインフルエンザ総合対策については、2006年11月10日をキックオフデーとし、<守って防いでインフルエンザ〜ワクチン、手洗い、マスク、うがい〜>という標語を掲げ、国および都道府県、保健所を設置する市および特別区(以下「都道府県等」という。)において、今冬のインフルエンザ対策に取り組んでいくこととした。

2.具体的対策

(1)インフルエンザ予防ポスターを作成し、電子媒体形式で配給
厚生労働省において、インフルエンザ予防のためのポスターの原画を作成し、インフルエンザホームページに電子媒体形式(PDFファイル等)画像ファイルで掲載。都道府県等においては、適宜活用(ダウンロード)され(独自に加工可)、医療機関、学校、職域等をはじめとした普及を図り、国民にインフルエンザ予防を呼びかける。

(2)インフルエンザ”Q&A”の作成・配布
厚生労働省と国立感染症研究所感染症情報センター、日本医師会感染症危機管理対策室において、毎年インフルエンザの流行シーズンに寄せられる質問項目の中で、頻度の高いものを整理した上で、作成して公表する。

(3)施設内感染防止対策の推進
高齢者施設等のようにインフルエンザに罹患した場合の高危険群の者が多く入所している施設においては、まず、施設内にインフルエンザウイルスが持ち込まれないようにすることが重要である。したがって、厚生労働省が日本医師会感染症危機管理対策室とともに、インフルエンザウイルスの高齢者施設等への侵入の阻止と侵入した場合のまん延防止を目的とした標準的な手引を各施設に普及していくこととしている。

なお、高齢者等の高危険群に属する者が多く入所している施設においてインフルエンザの流行が発生した場合には、都道府県等は、当該施設等の協力を得て調査を実施し、感染拡大の経路、感染拡大の原因の特定などを行うことにより、施設内感染の再発防止に役立てることが重要であり、国は、都道府県等から調査の実施に当たっての協力要請があった場合には、積極的に対応する。また、今年度も、特に、高齢者施設の方については、重点的に予防接種を勧奨する。

(4)インフルエンザのインターネットホームページを開設
 ・厚生労働省ホームページ:http://www.mhlw.go.jphttp://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/index.html
 ・国立感染症研究所感染症情報センターホームページ:http://idsc.nih.go.jp/index-j.html

厚生労働省のホームページに、インフルエンザに関する情報等を掲載した専用のページを開設する。

内容としては、インフルエンザ予防ポスター(PDFファイル等)、インフルエンザ“Q&A”、施設内感染予防の手引、インフルエンザに関する特定感染症予防指針、インフルエンザ発生状況等(発生動向情報、インフルエンザ様疾患報告情報)を準備が出来次第逐次掲載し更新する。

 ア.感染症法に基づくインフルエンザ患者発生状況の把握(週間情報)
各都道府県が選定した全国約 5,000箇所のインフルエンザ定点医療機関(約 3,000箇所の小児科定点医療機関を含む)で診断されるインフルエンザ患者について、オンラインで情報収集を行うとともに、集められた情報を分析し、その結果を感染症発生動向調査週報(IDWR: Infectious Diseases Weekly Report)等を用いて提供・公開する。

 イ.学校等におけるインフルエンザ様疾患発生状況の把握(学級等閉鎖情報)
全国の保育所・幼稚園、小学校、中学校等においてインフルエンザ様疾患による学年・学校閉鎖が実施された場合に、その施設数とその時点においてインフルエンザ様疾患で休んでいる学童等の数を、各学校および各都道府県教育担当部局の協力に基づき収集・分析し、その結果を毎週公表する。

 ウ.インフルエンザ関連死亡の把握(関連死亡情報)
インフルエンザの流行が死亡者数に与える影響について監視を行うため、14大都市からの協力を得て、インフルエンザ関連死亡の把握を行うための調査を行う。

(5)相談窓口の設置
インフルエンザの一般的予防方法、流行状況やインフルエンザ予防接種の意義、有効性、副反応等に関する国民の疑問に的確に答えていくため、インフルエンザ等相談窓口を開設する。具体的な対応は以下のとおりとする。

 ・開設時期:平成18年11月10日(金)〜平成19年3月30日(金)
 ・相談窓口:NPO法人バイオメディカルサイエンス研究会(バムサ)
 ・対応日時:月曜日〜金曜日(祝日除く) 9:30〜17:00
 ・電話番号:03-3200-6784
 ・FAX 番号:03-3200-5209
 ・E-mail :influt@npo-bmsa.org

  (6)予防接種について
65歳以上の高齢者については、予防接種法に基づく接種を受けることが可能である。

(7)ワクチン・治療薬等の確保
 ア.インフルエンザワクチン
昨年度は、例年よりインフルエンザワクチンの接種が早めに行われ、接種希望者が多数にのぼったため、ワクチンを入手できない医療機関等が見受けられた。

今冬のインフルエンザワクチンの供給予定量は、2,400万本(平成18年10月13日時点)の見込みであり、十分な供給量は確保されている。そのうち60万本のワクチンを不足時の融通用として確保することとしている。また、都道府県と協力して、医療機関等へのワクチン納入等について調整を行う。

イ.抗インフルエンザウイルス薬
 1)タミフル(一般名:リン酸オセルタミビル 中外製薬)
 ・今シーズンの供給予定量  1,200万人分(タミフルカプセル75およびタミフルドライシロップ3%の合計)
※10カプセルを1人分、ドライシロップ1瓶(30g)を 2.3人分として換算

 2)リレンザ(一般名:ザナミビル水和物 グラクソ・スミスクライン)
 ・今シーズンの供給予定量 30万人分

ウ.インフルエンザ抗原検出キット(迅速タイプ)の供給
今シーズンの供給予定量 約 2,400万人分(需要増に対応し増産が可能)

(8)その他
他の患者への感染拡大の防止のため、咳などの症状を有する方が医療機関を受診する際は必ずマスクを着用するよう、呼びかけることとする。

厚生労働省健康局結核感染症課

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