フサリウム角膜炎の最新情報、2005〜2006年−米国

(Vol.27 p 281-281:2006年10月号)

フサリウム角膜炎は、通常眼の外傷に続発して生じる角膜の真菌感染症である。本症は、温帯地域でのコンタクトレンズ使用者では稀と考えられている。治療には抗真菌薬を用いるが、本症は重症化し、ときに視力障害を生じて角膜移植が必要となることもある。

CDCは2006年5月18日の時点で、フサリウム角膜炎と診断確定された130例の報告を受けており、それらは米国26州とプエルトリコからである。患者の年齢中央値は41歳(範囲:12〜83歳)、67%は女性であった。31%が角膜移植を必要とした。

130例のうち、125例はコンタクトレンズ使用者であった。発症前1カ月間に使用していたコンタクトレンズ洗浄液が明らかであった118例のうち、89例(75%)はボシュロム社製レニューモイスチャーロック、8例(7%)は製品名は不明であるがボシュロム社製洗浄液、21例(18%)は様々な会社のモイスチャーロック以外の製品のみを使用していた。

感染のリスク因子を検討するために、ソフトコンタクトレンズ使用者を対象に症例対照研究が行われた。症例は、4月10日に“MMWR Dispatch”として行われたWeb公表以前に報告された18歳以上の症例に限定し、対照としては、2006年3月にソフトコンタクトレンズを使用中で、真菌性角膜炎の罹患歴がなく、症例の近隣に住む成人とした。その結果、症例50人、対照79人が調査対象となった。

単一のコンタクトレンズ洗浄液を用いていると述べた症例25例と、対照37例について解析が行われた。発症前1カ月間におけるボシュロム社製レニューモイスチャーロックの使用は、発症との間に独立した関連が認められた(調整オッズ比;19.0、95%信頼区間;2.4〜944.9、p値<0.001)。一方、他のコンタクトレンズ洗浄液の使用と感染との間に関連はみられなかった。

フサリウム角膜炎とボシュロム社製レニューモイスチャーロックとの関連から、同社は2006年5月15日に、同製品を世界市場から自主的に回収し、完全に撤収することを決定した。コンタクトレンズ使用者は直ちに本洗浄液の使用を中止し、他の適切な製品については眼科専門医に相談し、しかも衛生的な使用を行うべきである。臨床医は、角膜炎を呈するコンタクトレンズ使用者の診療においては、真菌性角膜炎の可能性を考え、必要な場合には眼科医に紹介すべきである。また眼ケアに関わる医療従事者は、フサリウム角膜炎の診断と治療が可能となるよう絶えず準備しておき、可能性ある症例がみられたら報告すべきである。

(CDC, MMWR, 55, No.20, 563-564, 2006)

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