日本のAIDS患者・HIV感染者の状況

(平成18年3月27日〜平成18年7月2日)

厚生労働省健康局疾病対策課
平成18年8月22日

(Vol.27 p 242-244:2006年9月号)

エイズ動向委員会委員長コメント(要旨)

【平成18年第2四半期】

1.今回の報告期間は2006(平成18)年3月27日〜7月2日までの約3か月である。法定報告に基づく新規HIV感染者報告数は248件(うち男性226件、女性22件。前回報告198件)で過去最高となった。前年同時期の新規HIV感染者報告数は171件である。

一方、新規AIDS患者報告数は106件(うち男性97件、女性9件。前回報告92件)であり、過去2位となった。前年同時期の新規AIDS患者報告数は89件である。

2.感染経路別に見ると、新規HIV感染者では同性間性的接触によるものが160件(全HIV感染者報告数の約65%)と最も多く、そのうち152件が日本国籍男性であった。

また、異性間性的接触による新規感染者報告数は53件(全HIV感染者報告数の約21%、うち男性37件、女性16件)である。

一方、新規AIDS患者では同性間性的接触によるものが40件(全AIDS患者報告数の約38%)、異性間性的接触によるものが40件(全AIDS患者報告数の約38%、うち男性36件、女性4件)となっている。

年齢別では、新規HIV感染者は20〜30代が多数(約66%)を占めるが(前回約77%)、40代〜50代以上が占める割合が増えている(約31%)(前回約22%)。新規AIDS患者は30〜50代以上に広く分布している。

要約すると、感染者・患者とも91%以上を男性が占め、その中でも同性間性的接触による感染が約62%を占めている状態であるが、40代と50歳以上の増加が特徴的であった。

3.2006(平成18)年4月〜6月末までの保健所におけるHIV抗体検査件数は20,369件(前年同時期16,398件)、自治体が実施する保健所以外の検査件数は5,604件(前年同時期4,402件)、保健所等における相談件数は39,317件(前年同時期34,644件)となっており、保健所および保健所以外における検査件数、保健所等の相談件数はいずれも前年同時期より増加した。

4.2006(平成18)年1月〜6月の献血件数(速報値)は2,480,063件(前年同時期2,725,863件)で、そのうちHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数は48件、10万人当たりの陽性人数は1.935件(前年同時期1.321件)であった。前年同時期と比較し、陽性率が高かった。

5.この四半期における新規HIV感染者報告数およびAIDS患者報告数はいずれも前回報告を超え増加傾向にあり、その合計数は過去最高となった。また、保健所および保健所以外における検査件数、保健所等の相談件数においては前年同時期より増加した。新規HIV感染者報告数を感染経路別に見ると、男性同性間性的接触は依然半数を超え、若年層にHIV感染が広がっているものの、40代、50歳以上にも増加が認められる。若年層の感染者および患者報告数の増加よりも、40歳以上の感染者および患者報告数が大幅に増加したことは利用者の利便性に配慮した検査・相談事業を推進した結果によるものと思われ、HIV検査普及週間など、検査体制の整備について一定の成果が認められる。各自治体においては保健所等を中心に、利用者の利便性(夜間・休日等)に配慮した検査・相談事業を推進することが重要であり、HIV感染の早期発見による早期治療と感染拡大の抑制に努める必要がある。国民はHIV・AIDSについての理解を深め、積極的に予防に努め、HIV抗体検査の早期受診に努めるべきである。また、各自治体(特に重点都道府県等)においては、今回の発生動向を考慮しつつ、エイズ対策推進協議会を開催し、予防も含めエイズ対策計画を早急に策定の上、より一層のエイズ対策を推進されたい。

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