乳児における侵襲性B群溶連菌感染症での致死率の予想外の増加、2006年1〜7月−ノルウェー

(Vol.27 p 240-241:2006年9月号)

ノルウェーでは2006年の初めから、生後90日未満の乳児における侵襲性B群溶連菌感染症の報告症例で、致死率の顕著な増加がみられている。1月1日〜7月21日の期間に24例が報告されたが、そのうち8例(33%)が死亡している。

この24例は9カ所の病院から報告された。男児が13例、女児が11例で、死亡した8例では、男児と女児がそれぞれ4例である。報告症例の地理的分布は、例年と変わりがない。臨床情報は全症例から得られている。3例が髄膜炎、14例が敗血症、2例がその両方を発症した。さらに1例が肺炎を発症しており、残りの4例では他の臨床症状がみられている。このうち19例は、2006年の第2四半期(第15〜29週)に発生している。

本疾患についての平均罹患率は、2000〜2005年で出生1,000人対0.7人(0.45〜1.0)であり、ヨーロッパの他の国での最近の数値と同程度であった。2006年上半期での推定罹患率は、出生1,000人対0.85人である。一方致死率は、2006年では2000〜2005年の平均値である5.8%の6倍近くとなっている。致死率増加の因子を調べるために、疫学的調査が予定されている。死亡した8例中、6例の発症日は生後0〜6日の期間(致死率46%)であり、2例の発症日は生後7〜90日の期間(致死率18%)である。最近、他の国での致死率としてドイツでは4%、イギリス・アイルランドでは10%と報告されている。

ノルウェー保健当局は本疾患についての注意喚起を行い、1986年以降全数届出疾患となっている本疾患に対するサーベイランスを強化するために、ノルウェーのすべての産科・新生児科・小児科・病院微生物部門とコンタクトを取った。2006年に報告された全症例からの検体は国立レファレンスラボに送られ、詳細な解析が行われている。ヨーロッパの他の国におけるこのような致死率の増加については、今のところ情報を入手していない。

ノルウェーのガイドラインでは、出生前に本菌の保有を調べる微生物学的スクリーニングを全員に行うことは、推奨してはいない。今回の致死率増加の原因はまだ判明していないが、ノルウェーの保健当局は現在の指針の改訂を行うことを検討している。

(Eurosurveillance Weekly, 11, 27 July, 2006)

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