ノロウイルスの新しい変異株の出現−英国

(Vol.27 p 239-239:2006年9月号)

健康保護局(HPA)感染症センターのウイルスレファレンス部門(VRD)は最近、ノロウイルスgenogroup II.4(GGII.4)の新しい変異株[Bristol/1993/UK(Grimsby)]による集団発生が増加していることを報告した。同じ遺伝子型で別の株であるFarmington Hills株やHunter 284株(2005年末までは最も多かった)と比較して、ウイルスのキャプシド領域で保存されているアミノ酸の変化が認められた。この新しい変異株は2005年12月に初めて検出された。2006年4月と5月では、本変異株として確認されたGGII.4の割合は、それぞれ27/93 (29%)、36/63 (57%)であった。本株はオランダ、フランス、デンマークからも報告されている。最近数週間、英国のメディアとヨーロッパの他の国で、クルーズ船での集団発生が数件報告されているが、これらのうちの2件で検出された株は、本変異株であることが確認されている。

現在、HPAの環境・腸管疾患部門(EEDD)とVRDは、このような集団発生について、疫学的おび微生物学的情報の検討を行っている。このような集団発生をより詳細に調査するために、2005年と2006年のデータを入手すべく、通知が出された。調査の目的は、本変異株と他の変異株によって生じる集団発生について比較することである。通常、ノロウイルスの流行は夏季までには減少するので、本変異株の示す季節的パターンは珍しい。過去に通常と異なる季節的パターンが生じたときには、新しい株が出現しており、今後、この新しい変異株が集団発生を起こす株として多くなるのか否かにつき、さらなる調査が必要である。

(HPA, CDR Weekly, 16, No.25, 2006)

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