RSウイルス分離状況、2004/05シーズン−米国

(Vol.27 p 74-75:2006年3月号)

RSウイルス(RSV)は若年小児の下気道感染症の主要病原体で、それにより米国では、年間51,000〜82,000の入院例があると推定されている。米国では、RSV流行状況は国家呼吸器系腸管系ウイルスサーベイランスシステム(NREVSS)により、監視がなされている。ここでは、NREVSSへの報告からみた2004年7月〜2005年6月の期間の傾向と、2005年7月2日〜2005年12月3日の期間の暫定結果を報告する。

NREVSSは検査機関の任意参加によるサーベイランスシステムであり、38州とコロンビア特別区にある89カ所の臨床検査機関、および公衆衛生検査機関が参加している。それらの検査機関は、特定の呼吸器系および腸管系ウイルスに関する検査検体数と陽性数を、毎週CDCに報告している。RSVについては2004年7月〜2005年6月の期間に135,491件の検査が行われ、19,642件(14.5%)が陽性であった。RSVの広範な流行は2004年11月13日を最終日とする週に始まり、2005年4月2日まで21週間継続し、全体の94%がこの期間に検出された。

2005年7月からでは、38州の84カ所の検査機関から検査結果が報告されており、10月以降では、62カ所の検査機関からRSV検出が報告されている。2005/06シーズンの暫定結果からは、毎年みられる季節的ピークは、南部地方で10月15日を最終日とする週から始まったと推測された。

医療ケア提供者はRSVの毎年の季節的ピーク時には、すべての年齢群において、RSVは急性呼吸器疾患の原因として可能性あることを、十分に認識するべきである。現在、使用可能なワクチンはない。医療ケア施設内での感染伝播を防止するため、感染制御策を行うことは重要である。またRSVのシーズン時には、重症のRSV感染症を起こすリスクのある乳幼児は、毎月ヒト化マウス抗RSVモノクローナル抗体製剤を投与する予防策を受けることが可能である。

(CDC, MMWR, 54, No.49, 1259-1260, 2005)

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