宮城県内で分離されたShigella sonnei の遺伝子パターン

(Vol.27 p 66-67:2006年3月号)

2001年11月下旬から西日本を中心に、韓国産カキが原因食品と推定されるShigella sonnei の広域食中毒が発生し、同時期に宮城県でも同一パターンを示すS. sonnei が分離された(IASR 23: 179-180, 2002)。

2001年〜2006年2月までに県内で分離された赤痢菌は24株で、S. sonnei が16株と約67%を占め、全国の分離状況と同様の傾向であった()。毎年のS. sonnei 分離数は2001年2株、2002年1株、2003年は0株であった。しかし、2004年からは細菌性赤痢の届出が急激に増加し、2005年までの2年間でS. flexneri 6株、S. sonnei 13株の計19株が分離された。そこで分離したS.sonnei 13株のうち解析可能であった12株と、2001年分離した韓国産カキ由来株(Sh30)に、制限酵素XbaI を用いてパルスフィールド・ゲル電気泳動(PFGE)を実施した()。Fingerprinting IIで解析した結果、2004年8月〜2005年5月までに分離した6株(Sh62、64、66、68、69、72:Lane 4〜 9)とSh30 Lane 1)の遺伝子パターンは85%以上の相同性を示し、制限酵素BlnIによる解析でも結果は同じであった。

Sh62、64、68は散発事例で、それぞれベトナム、中国、タイなどの渡航先で感染したと考えられ、韓国産カキ由来株と同様の株がこれらの地域にも存在していたと推察された。また、Sh66、69、72は渡航歴がなく国内で感染した事例と思われることから、今後の動向に注目したいと考える。

韓国産カキと異なる遺伝子型を示した6株(Sh60、61、74〜77:Lane:2,3, 10〜13)のうち、2株(Sh60、61)は遺伝子型が100%一致したが、両者の関連については不明であった。また、4株(Sh74〜77)は同一事例であったことから、詳細を本号7ページに記載した。

宮城県保健環境センター
佐々木美江 田村広子 畠山 敬 谷津壽郎 秋山和夫

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