スコットランドにおけるコウモリのリッサウイルス

(Vol.27 p 17-17:2006年1月号)

2003年の初期調査に続き、2004年にアバディーン大学を中心とした調査グループは、ヨーロッパコウモリリッサウイルスに関してDaubentonコウモリを調査した。その結果、現在感染していることを示す証拠は見つけられなかったが、過去に曝露された証拠が得られたと発表した。Daubentonコウモリは人家をねぐらにすることはあまりなく、スコットランドに生息するコウモリのうち約6%程度であると考えられているが、全国から合わせて480羽の血液および唾液を採取したところ、33%の血液から抗体が検出された。しかし前回の調査と同様に、いずれの検体からもウイルスを同定できなかった。また今回の調査では、ヒトへの感染リスクが変化したとする知見は得られず、そのリスクも極めて低いと考えられる。しかし、狂犬病を予防するための指針に従うことは、コウモリに触れる可能性のある労働者のみならず、一般市民にも重要であることに変わりはない。コウモリに引っ掻かれたり咬まれたりした者、あるいは開放切創や粘膜が唾液に触れた者はすぐに流水と石鹸を用いて、ごしごしでなく、当該部位を十分に洗い流し、医療機関に相談することが必要である。有効な曝露後ワクチンは入手可能である。

(HPS Weekly Report, 5 July 2005)

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