ストックホルムの託児施設において小児35名が感染した結核の流行、2005年−スウェーデン

(Vol.27 p 17-17:2006年1月号)

2005年8月、ストックホルム郊外の託児施設に勤める助手が塗抹陽性肺結核と診断された。それ以前の数ヵ月間、体重減少と持続する咳があり、胸部X線検査上、両側肺に空洞性病変が認められた。培養により、イソニアジド耐性結核菌が確認された。

症例と接触の機会があった小児141名のうち、35名(25%)にツ反径10mm以上もしくは胸部異常影が認められた。胸部異常影が認められた20名の小児のうち、8名に肺門リンパ節腫大を伴う気管支肺胞浸潤影が認められ、12名は肺門リンパ節腫大のみであった。7歳の女児1名は播種性結核を発症した。どの児も入院が長期化することなく、回復は良好であった。一時的に接触があった近所の託児施設の小児61名では、感染はみられなかった。初回のツ反に異常がみられなかった児については、期間をおいてツ反が再実施される予定である。胸部X線検査で結核の所見のあった小児は完全な抗結核薬療法を受け、ツ反径10mm以上のみの小児では化学予防が行われた。

託児施設の常勤職員25名のうち、11名がツ反径10mm以上であった。一時的に接触のあった近所の託児施設の助手が、結核性胸膜炎を発症した。散発的に接触のあった別の成人9名が、ツ反径10mm以上であった。曝露が疑われた保護者46名のうち、6名で感染が疑われた。しかし発症者はみられず、感染した成人には化学予防が行われた。

菌株はイソニアジド耐性のため、化学予防はそれに応じて調節され、小児にはリファンピシン単独、成人にはリファンピシンと別の薬剤(例えばフルオロキノロン)が併用された。小児のうち、9名の非感染者と3名の感染者にBCGが接種された。この発端患者以外に、感染源は特定されなかった。

(Eurosurveillance Weekly, 10, Issue 43, 2005)

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