世界のコレラ、2004年−WHO

(Vol.27 p 16-16:2006年1月号)

2004年にはWHOに対して公式に、56カ国から101,383例の罹患者と2,345例の死亡者が報告された。前年と比べ罹患者数は9%減少したが、死亡者数は24%増加した。致死率も2.3%に増加した。罹患者数は減少したものの、死亡者数、致死率、症例を報告した国の数がそれぞれ増加したことは、懸念材料である。また、世界的なコレラ発生の観点では、過去5年と比較した場合、真の改善は認められていない。

地域別では、アフリカから95,560例の罹患者が報告され、世界全体の94%を占めた。前年の108,067例からは減少したが、死亡者数は2,331例で、前年より23%増加した。南北アメリカからの罹患者数の報告は前年同様であるが、アジアからの報告は66%増加して5,764例となった。このうち、81%はインド亜大陸からの報告であった。日本からは66例の報告があり、そのうち55例が輸入例であった。O139コレラは南東アジアのみに限局し続けており、中国では、ラボで確定診断された症例の59%がO139によるものであった。ヨーロッパとオセアニアからの報告はすべて輸入例であった。世界全体では、輸入例の報告は3倍となった。ただし、実際のコレラの症例数は、報告された数字よりもずっと多いと思われる(観光や貿易上の不利益を避けるための過少報告や、症例定義の不一致などのサーベイランスシステム上の限界による。例えばリベリアでは、前年の34,740例から2,786例へと大幅な減少がみられたが、症例定義が変更されていることに留意する必要がある)。2004年にはカメルーン、チャド、ギニア、マリ、ニジェール、セネガル、ザンビアで大規模な流行が発生した。

現在、3種類の経口コレラワクチン[死菌全菌体+コレラ毒素Bサブユニット(WC/rBS)、ベトナムのみで認可されている死菌全菌体ワクチン、弱毒生ワクチン]が使用可能であり、主として旅行者に接種されているが、今やコレラをコントロールする上で、安全な水の供給や衛生状態の改善といった以前からの方策を、経口コレラワクチンの使用が補完すると考えられている。Endemicな状況での最初の実証プロジェクトがモザンビークにおいて、2003〜2004年に2回接種の死菌ワクチンWC/rBSを用いて行われ、77%の予防効果が認められた。これまでにも、2000年にミクロネシア連邦において、進行中の流行の拡大を防ぐために弱毒生ワクチンが使用され、効果を挙げたと考えられている。このような結果を受けてWHOは、2002年12月に出した経口コレラワクチンの使用に関する指針を見直す計画を立てている。ただこれには、リスクアセスメントや接種の対象とする集団の特定、実行に当たっての人員・物資・資金の確保といったさまざまな課題がある。

(WHO, WER, 80, No.31, 261-268, 2005)

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