南オーストラリアにおける1992年〜2003年のロスリバーウイルス感染症の発生

(Vol.26 p 347, 352)

ロスリバーウイルス(RRV)感染は70〜90%が不顕性感染、もしくは軽度な症状を示す程度であり、典型的な症状として、関節痛、関節腫脹(主に四肢の先端)、倦怠感、筋肉痛、発疹(体幹や四肢)、発熱、頭痛、うつ状態が知られている。オーストラリアでは毎年数千の感染者が報告されており、直接的・間接的な医療費が年間数千万ドルに上り、オーストラリア社会への影響力は大きい。

RRVは、オーストラリアではもっともよく見られるアルボウイルスであり、40種以上の蚊類から分離・確認されている。蚊媒介疾患であるRRV感染症の分布は、生息環境や蚊の繁殖に影響する要素である降水量や気温などと密接に関係し、蚊類の繁殖に適した雨季にオーストラリアの熱帯地域において流行が見られる。より気候が穏やかなオーストラリアの南部においては、流行から外れた報告が稀に見られる程度であったが、1956年にマレー川流域で約200例が報告された流行がみられ、1980年以降サーベイランス対象疾患となっている。

1992〜2003年の南オーストラリアにおけるRRV感染症の報告数とその分布について、調査が行われた。調査期間中、南オーストラリアにおいてRRV感染症が2,294例報告され、そのうちの約90%はマレー川流域における4度の流行(1992/93;約800例、1996/97;約650例、1999/2000;約250例、2000/01;約250例)の際の報告によるものであった。罹患率に男女差はなく、30〜49歳に最も多く確認された。約80%の症例は例年1〜4月に報告されており、季節性が認められた。また、大きな流行は3〜4年ごとに発生していた。

2,294例のうち、208例は南オーストラリア以外が推定感染地域とされていた。32例では、推定感染地域と居住地域ともに不明であった。538例の推定感染地域は不明、155例の推定感染地域は特定されていなかった。

推定感染地域が記録されている1,569例のうち、リバーランド地域(730例)とマレーマリー地域(321例)で感染した症例が多かった。647例(41%)は居住地域以外での感染であり、その多くは、RRV感染症の非流行地域であるアデレードの在住者が、旅行などで流行地域を訪問した際の感染が疑われた。またRRVが、これまで確認されていなかった南オーストラリアの中北地域に分布していることが示唆された。

RRV感染症の流行地域や分布状況を把握するために、推定感染地域についての情報を収集し、国レベルで記録していく必要がある。

(Australia CDI, 29, No.3, 291-296, 2005)

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