4月〜5月、三重県におけるコクサッキーウイルスA16型による手足口病流行

(Vol.26 p 177-178)

三重県では、2005年第6週〜第20週まで手足口病の定点当たりの患者届出数は0.3以下と少なかったが、鈴鹿保健所管内では、第13週1.5となり、第19週まで間歇的に1.5〜2.0と明らかなピークは認められないものの散発の様相を呈していた。この間の同保健所管内での患者数は49名であり、その年齢層は1〜14歳で、中でも3歳が12名、4歳が11名と多かった。

当研究部には、この期間に採取された咽頭ぬぐい液5検体が搬入され、これらの検体について、RT-PCR法によりコクサッキーウイルスA16型(CA16)、エンテロウイルス71型(EV71)(山崎ら, 感染症学雑誌 75: 909-915, 2001)およびエンテロウイルス(Kuan, Clin Microbiol 35: 2598-2601, 1997)遺伝子を検索するとともに、VeroおよびCaCo-2細胞を用いてウイルス分離を行った。

結果は、表1に示したように、5検体すべてがVero細胞で明瞭なCPEが認められ、4検体は中和反応によりCA16と同定された(1検体は現在検査中)。また、同時に使用したCaCo-2細胞では3検体からCPEが認められた。RT-PCR法では、5検体ともCA16に陽性で、また、同時に実施したエンテロウイルスにも陽性であった。これら5検体のシーケンスは現在実施中である。以上の結果から、CA16およびEV71特異的プライマーを用いたRT-PCRは迅速検査として非常に有効であると考える。

三重県全体では手足口病の定点当たりの患者届出数は、第22週0.8、第23週0.9と増加してきており、今後の動向に注意が必要である。

三重県科学技術振興センター・保健環境研究部
山内昭則 中野陽子 矢野拓弥 松野由香里 松村義晴 大熊和行 杉山 明
中山 治
落合小児科医院 落合 仁

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